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転生したらねるねるねるねだった件
気づけば私は
湯気も出ない、小さな粉の山だった。
水が落ちてきて、世界がゆるゆると回りはじめる。
誰かの手のひらで
ぐるぐる、ぐるぐる、
かき混ぜられるたび、
胸の奥がふわりと色づく。
ああ、私はもう人ではない。
むしろ——
「もうすぐおいしくなるよ」とささやく側だ。
泡立つ甘さに身を任せながら
思う。
人生も、こうして
誰かとの混ざり方ひとつで
味が変わるのかもしれない、と。
今日も私は
スプーンの上で紫に輝き、
ただ一口の驚きのために
生まれ変わった自分を誇らしく思う。
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