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生成AIも間違った回答をすることがあるので注意が必要だと思った話


label: [生成AI]
2025年11月02日

ライター(Writer):
小澤利式(Ozawa Toshiki)


生成AIは便利で、私は普段の生活に、生成AIが出力する情報を多く参考にしています。

それでも、生成AIはたまに誤った情報を出力することがあります。

今朝は、「エノキタケリノール酸」の効果的な摂取方法について、生成AIに聞いてみました。

プロンプト:

エノキタケリノール酸の効率的な摂取方法を教えて。

これに対し、生成AIは回答してくれましたが、以下の、正しくない内容を含んでいました。

正しくない内容:
•乾燥させることでエノキタケリノール酸が大きく減少してしまう。
•可能な限り低温調理で調理するのが望ましい。(生食のエノキが最適)

以下は生成AIの回答です。

エノキタケリノール酸(Enokipodolic acid)は、エノキタケ(フレッシュなえのき茸)に含まれる生理活性物質で、抗腫瘍作用や脂質代謝改善作用などが報告されています。ただし、加熱や乾燥などの処理で分解されやすい性質があります。そのため、摂取効率を高めるには次の点に注意するとよいです。

1. 加熱しすぎない調理法を選ぶ
・エノキタケリノール酸は高温で分解しやすいです。
・煮込みや炒めすぎを避け、**短時間加熱(2〜3分以内)**が理想です。
・汁物に使う場合は、沸騰後に加えて軽く火を通す程度にしましょう。

2. 生または低温調理での摂取
・可能であれば、**低温加熱(60〜70℃程度)**や「軽い湯通し」で摂取するのが効率的です。
・生食用のえのき茸(新鮮で衛生的なもの)を、細かく刻んでサラダなどに混ぜるのも有効です。
※ただし、生食は食中毒のリスクがあるため、信頼できる新鮮なものを使用し、少量から試すことが望ましいです。

3. <省略>

4. 保存方法に注意する
・冷蔵では日数が経つほど有効成分が減少します。
・できるだけ購入後すぐに調理するか、冷凍保存して早めに使用しましょう。

<省略>

ーーーー

生成AIのこの回答を受けて、私は次のように送ってみました。

では、乾燥エノキは、乾燥の過程でエノキタケリノール酸が分解されてしまいますか?

これに対し、生成AIは以下のように回答しました。

はい、乾燥エノキではエノキタケリノール酸が大きく減少、またはほとんど分解されてしまいます。

理由:
エノキタケリノール酸は非常に熱・酸化に不安定な脂肪酸誘導体で、
・加熱(特に80℃以上)
・乾燥過程での酸化
によって容易に分解、または構造が変化してしまうことが知られています。

市販の乾燥えのきは通常、60〜80℃前後で数時間乾燥させるため、この過程で成分の多くが失われます。したがって、乾燥えのきを戻して食べても、エノキタケリノール酸を摂取する効果はほとんど期待できません。

補足:
・乾燥えのきには、食物繊維やβ-グルカンなどの耐熱性成分は比較的残ります。
・健康目的で「エノキタケリノール酸」を重視する場合は、生鮮えのきまたは低温処理された抽出物の利用が推奨されます。

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次に私は以下のように送ってみました。

自然乾燥させたエノキはどうですか?

生成AIの回答:

自然乾燥(天日干しなど)したエノキでも、エノキタケリノール酸はかなり失われます。

理由:
エノキタケリノール酸は、
・光(特に紫外線)
・酸素
・温度上昇(30〜40℃以上でも分解が進む)
に弱い性質を持っています。
そのため、たとえ加熱せずに自然乾燥した場合でも、
時間をかけて乾燥させる過程で酸化分解と光分解が進み、含有量は大きく低下します。

比較の目安:
・生のエノキ → 含有量が最も多い
・低温真空乾燥(30℃以下、酸素遮断) → 一部残存
・自然乾燥(天日や風乾) → 光・酸化の影響でほぼ消失
・加熱乾燥(60℃以上) → ほぼ完全に分解

補足:
自然乾燥で得られるえのきは風味や保存性には優れますが、
エノキタケリノール酸などの不安定な活性成分は維持できません。
その代わり、食物繊維やミネラルなどの安定成分は残るため、
健康食品的な価値はゼロではありません。

もし目的が「エノキタケリノール酸を摂ること」であれば、
生食または軽い加熱、もしくは低温抽出サプリメントの利用が最も効率的です。

希望があれば、低温で成分を壊さずに保存・調理する具体的な方法も紹介できます。説明しましょうか?

ーーーー

エノキタケリノール酸が乾燥過程や調理による加熱で失われるということについて、信頼できる出典を示して下さい。

生成AIの回答:

調べたところ、エノキタケリノール酸(enokipodolic acid)という特定成分が「乾燥/加熱で明確に減少する」という数値付きデータを示している論文・レビューを、私がアクセスできた範囲では確認できませんでした。

ただし、きのこや乾燥食品の「乾燥・加熱処理による生理活性成分の損失」については、関連する研究・レビューがあります:

きのこ類の乾燥法(天日、熱風、凍結乾燥など)が、ポリフェノールや抗酸化活性などの生理活性化合物に与える影響を総括したレビューがあります。「凍結乾燥が最も生理活性化合物の保持に優れ、天日乾燥・熱風乾燥では損失が大きい」という傾向が報告されています。

きのこ(Flammulina velutipes/エノキタケ)そのものの機能成分・用途を紹介したレビューには、成分が熱・乾燥処理で劣化する可能性についての記述がありますが、該当成分エノキタケリノール酸単独についての量的な変化までは言及していません。

つまり、「きのこを乾燥・加熱処理すると生理活性成分が低下し得る」という“一般的な傾向”は信頼できる出典で裏付けられていますが、“エノキタケリノール酸が具体的にどれだけ減るか/どういう温度・時間で減るか”という報告を私は確認できなかったということです。

もしよければ、英語文献も含めて「エノキタケおよびその抽出成分(特に脂肪酸誘導体含む)」が熱・乾燥処理でどう変化するかを掘って、該当成分のデータを探してみましょうか?

エノキタケリノール酸が乾燥や加熱で大きく減少すると、最初の方であなたは述べましたね。

生成AIの回答:

思考時間: 17s
ご指摘ありがとうございます。最初の説明で「分解される」と断言した点について、誤解を招く表現になってしまい申し訳ありません。

説明(明確化)
・私が最初に「乾燥や加熱で失われる」と述べたのは、エノキタケに含まれる一部の生理活性化合物や、一般に不飽和脂肪酸・脂肪酸誘導体が光・酸素・熱に弱いという化学的性質、およびきのこ類を対象にした乾燥・加熱処理研究の一般的な傾向に基づく推定です。
・しかし「エノキタケリノール酸(enokipodolic acid)について、乾燥や加熱でどれだけ減少するか」を示す一次研究(具体的な温度・時間条件下での定量データ)は、私が検索した範囲では見つかりませんでした。したがって最初の断定は過度に一般化した表現でした。

根拠として参照できる信頼できる文献(関連する一般的傾向を示すもの)
・Enoki(Flammulina)に関する総説:きのこの薬理効果や成分についてまとめており、熱処理や加工が成分に影響する可能性を示唆しています。

・エノキを含む研究での機能性・抗酸化等に関する研究(加熱・加工が活性に影響する一般的議論)。

・きのこ・食品分野の乾燥法比較(凍結乾燥は生理活性保持に有利、天日/熱風乾燥では損失が大きい傾向)をまとめたレビューや研究。

重要な点(結論のまとめ)
・上記の文献は「きのこ類の生理活性成分は乾燥や加熱で減少し得る」という一般的で信頼できる傾向を示しますが、
・「エノキタケリノール酸(enokipodolic acid)に関して、特定の温度・時間でどの程度減少するか」を示す一次データ(定量値)は確認できていません。

次にできること
・(私がさらに続けて)日本語の学位論文、会議録、特許、あるいは化学標的名が別表記になっている可能性を含めて掘り下げて一次資料を探します。

・もしご希望なら、私が見つけた一次資料(論文PDFや要旨)を逐一提示して、どの記述がどの主張を支えるかを明示します。

改めて、初回の断定的な表現についてお詫びします。どう進めましょうか?

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まとめ:

エノキの食べ方について、今回、生成AIは以下の誤った内容の回答をしました。

・エノキタケリノール酸は乾燥や加熱調理の過程で大きく減少する。
・エノキタケリノール酸を効果的に摂取するには、生食が推奨される。

生成AIも間違った回答をすることがあるため、注意が必要だと思いました。

なお、エノキタケは生食だとリスクがあるようです。エノキは必ず加熱調理して食べたほうがよさそうです。生食用エノキというものもあるのかもしれませんが、私がネットで探した限りでは、現在、生食用エノキは販売されていないようです。